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Chapter2 経腸栄養
9.経腸栄養に必要な器具


田無病院院長 丸山道生

丸山道生
記事公開日 2011年9月20日

1.経腸栄養療法を行うために必要な器具

経腸栄養に必要となる器具は、

  1. 養剤を体内に送り込むアクセスルートとしての経腸栄養カテーテル(経鼻栄養カテーテルやPEGの胃瘻カテーテルなど)
  2. 経腸栄養剤を入れる容器、コンテナ(ボトル、バッグ、イルリガートルなど)
  3. カテーテルと栄養剤をいれたコンテナをつなぐ接続チューブ
  4. 経腸栄養用の注入ポンプ
  5. 経腸栄養用のシリンジ

などがある(図1)。(1の経腸栄養カテーテルに関してはそれぞれの項目を参照のこと)

図1 経腸栄養療法に必要な器具
図1 経腸栄養療法に必要な器具

2.経腸栄養器具の接続部(コネクター)

経腸栄養用のカテーテルや接続チューブ、シリンジなどの接続は、静脈ラインとの誤接続を防止するために、カテーテルチップ型となっている(図2図31)

図2 誤接続防止タイプのカテーテルチップ型コネクター
図2 誤接続防止タイプのカテーテルチップ型コネクター

また、接続部を黄色などのカラーリングを施し、輸液ラインとの識別を可能にしている。従来型の接続部のものが変更されずに経腸栄養に使用されている場合は、事故防止のために、誤接続防止用のカテーテルチップ型に変更する必要がある。

経腸栄養ルートのコネクターはシングルタイプとダブルタイプのものがある。ダブルタイプの接続部はYポートコネクターとも呼ばれ、主なルートを外すことなく水によるフラッシュや薬剤投与を行うことが可能となっている(図32)

図3 カテーテルチップタイプの誤接続防止用コネクター
図3 カテーテルチップタイプの誤接続防止用コネクター

3.コンテナ(ボトル、バッグ、イルリガートル)

栄養剤を入れる容器のコンテナには、ボトルやイルリガートルなどの硬質のコンテナと。バッグなどの柔軟性のコンテナがある(図4)。

図4 コンテナの種類
図4 コンテナの種類

硬質コンテナはプラスチック製のものが多い。重くて割れやすいガラス製のものはほとんど使われなくなっている。柔軟性コンテナには、ビニル製のバッグ型のものがあり、落下する雑菌の混入を防ぐために、蓋が付いている。接続チューブとの接続に関しては、コンテナの下の突起と接続チューブのゴム管をつなげる場合や、専用のスクリューキャップ付きの接続チューブをつなぐ場合などがある2)。コンテナは原則的にはディスポーザブルであるが、実際は洗浄、消毒を繰り返して使用されることが日常的である。正しい洗浄法に従い、経腸栄養の細菌性の合併症を起こさないことに心がける必要がある。

最近は、滅菌された経腸栄養のバック製剤で、そのまま専用のラインに接続して投与できるRTH(ready-to-hang)製剤も普及してきている(図5)。RTH製剤は細菌汚染を最小限にすることができ、1バックを24時間で投与しても細菌性の合併症の危険が少い。この方法はクローズドシステムと呼ばれることがある。

図5 RTH(ready-to-hang)の経腸栄養剤
図5 RTH(ready-to-hang)の経腸栄養剤

4.経腸栄養用注入ポンプ

経腸栄養剤の注入は重力式の自然滴下法でも可能だが、より正確な注入量が要求される場合には注入ポンプを使用する。注入ポンプを用いることで経腸栄養の合併症である下痢や嘔吐、誤嚥、および誤嚥性肺炎発症の頻度が低下すると考えられている。経腸栄養用の注入ポンプは、本邦では数種類市販されている(表1)。最近は、定期的に水でカテーテルを自動的にフラッシュする機能がついたポンプも発売さている。

表1 経腸栄養用注入ポンプ各種
表1 経腸栄養用注入ポンプ各種

腸瘻や幽門後のアクセスルートを使用する場合は、注入ポンプの使用を原則とする。空腸への経腸栄養は少量持続が標準で、重力式ではいっぺんに大量の栄養剤が入って下痢を起こす可能性がある3)

誤嚥の危険性のある患者には、ボーラス投与ではなく栄養剤を少量持続で投与することが望ましく、注入ポンプの適応になる。水分量の制限や、術後などの厳重な投与量の管理が必要な場合も、注入ポンプを用いる。注入ポンプを使うと、体動や体位による注入速度の変化をきたしにくいため、注入量が多い場合や夜間就眠時に注入する場合、あるいは重力式では注入が困難なジャケットやショルダバックを使用する在宅経腸栄養などの場合にも、注入ポンプが使用される。

注入ポンプの適応をまとめると、

  1. 下痢の回避(消化管機能低下時や腸瘻からの経腸栄養時)
  2. 嘔吐の回避(消化管運動低下など)
  3. 持続投与が必要な場合(腸瘻など)
  4. 手術侵襲の大きい術後の経腸栄養
  5. 腸瘻からの在宅経腸栄養
  6. 意識障害や嚥下反射の低下がある場合

などが挙げられる4)

文献

  1. 丸山道生:腸瘻からの経腸栄養、医歯薬出版編、目でみる臨床栄養学update、p284-289、医歯薬出版、東京、2007年
  2. 鷲澤尚宏:投与システム:チューブ、ボトル、ポンプなど、丸山道生編、経腸栄養バイブル、p145-150、 日本医事新報社、東京、2007年
  3. 丸山道生:経腸栄養療法の管理、東海林徹編、Q&A で学ぶ栄養療法と薬学管理、p99-109、南山堂、東京、2008年
  4. 大谷幸子:経腸栄養ポンプの使い方、東口高志編、NST完全ガイド改訂版、p108-109、照林社、2009年

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