患者と医療者のための情報誌「PDN通信」第92号のご案内
PDN通信第92号 編集後記 PDN理事長 鈴木 裕
近ごろ、病院から「音」が消えていくように感じる。かつては絶え間なく鳴る救急車のサイレン、回診の声、ナースステーションの笑い声。だが今、聴こえるのは沈黙とため息、経営会議の紙をめくる音ばかり。
急性期病院の赤字は、いよいよ臨界点を迎えている。コロナ禍で注がれた補助金は打ち切られ、残されたのは物価高騰と人件費の増加。24時間体制で命と向き合う現場が、今や経営の綱渡りを強いられている。
「病院は儲けを追う場所ではない」と言われる。確かにそうだ。だが、「赤字でも構わない」と言った者は、はたしていただろうか。医療とは社会の背骨である。その背骨がきしみ、ひび割れ始めている。
統合か、連携か、それとも制度の再構築か。問われているのは、今を支えるための工夫ではない。未来に命をつなぐ覚悟である。医療という支柱を、この国がどこまで本気で守ろうとしているのか。
沈黙の病棟に、耳を澄ませたい。
(2025年7月25日発行)
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※現在公開中のPDN通信は、創刊号~第10号まで。順次追加していく予定です。
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