飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる162

京都府 飛田洋さん(72歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

【雑文暴論】⇒【三大迷惑行為】

私の活躍出来た生活は【二十世紀】で終わりを告げて、
【二十一世紀】からは【自宅療養】になり、天井を仰ぎ、
山野に倒れ、朽ち果てるのを待つ【丸太ん棒】もどきで、
見聞きしても、対処出来なくなって随分と久しい。

当初は何度も【自死】を考えてみたが、残された能力と、
与えられた物品、環境では不可能と知り、巻添えは駄目、
産みたくないので、今日まで漠然と生かされている。


【ペグのお蔭】だろうか【床ずれの心配】は全くない上に
幸いな事に【痛み苦しみ】がないので助かっている。

雑草育ちで暮らしだった私に、痛みも我慢の出来る範囲で
それでも突然起きる【咽せる】【咳き込む】と【欠伸】の
【三大迷惑行為】には参っている。


なかでも【咽せる】事が不意に始まると、夜中でも収拾が
つかず、ひどい時は【咳き込み】を呼ぶ事になる。

【気管支】に【唾液】やホコリ等の【空中浮遊物】が入り
込むみたいで、この季節には気をつけている。

冬場は出入りする皆さんが、厚着出し中国からのPM2.5と
やらの土産も考えられるし、人一倍【神経質】になる。

なにしろ年中、上向きで寝ていて【気管切開口】は上向き
【浮遊物】の発見、追跡、落下、侵入に用心している。

と、云っても横に少し顔を向けるだけですがね・・・・・


冬らしくなって来そうです、忘れず今月も作品を送ります

皆様のご健康をお祈り申し上げます。宜しくお願いします

平成28年2月1日(月曜日)

飛田 洋

≪夢・夢・夢≫

≪未来の絵図≫

二行きめる
『一』
夢を一杯    見てたのと
夢を絶対    見れぬのが
 小さな部屋で  寝ているヨ
寝付きの早い  婆さんと
寝付きの悪い  爺さんと
『二』
夢が諦め    切れぬのと
夢が壊れて   いるのとが
 今夜も二人   寝ているヨ
介護に尽きる  婆さんと
介護を受ける  爺さんと

『三』
夢をしっかり  見てるのと
夢をさっぱり  見れぬのが
 変らぬ部屋で  寝ているヨ
苦労苦にせぬ  婆さんと
苦労気になる  爺さんと
『四』
夢を大事に   抱いたのと
夢を惨めに   捨てたのが
 静かに二人   寝ているヨ
疲れに耐える  婆さんと
疲れを知らぬ  爺さんと

二行きめる
『一』
未来の絵図は  絵空事
今は間違い   糾してる
 眠れぬ夜の   暇潰し
 時の過ぎ行く  そのままに
 妄想もどきに  更けて行く

『二』
未来の絵図は  幻か
実に馬鹿げた  たらとレバ
 時計のリズム  道づれに
 時間ばかりは  あり余り
 妄想十八番と  更けて行く

『三』
未来の絵図は  白昼夢
夏の火鉢か   役立たず
 迎えの来ない  空しさを
 忘れたいよと  ごまかして
 妄想ばかりで  更けて行く


≪此処は大人≫

≪後であとで≫

二行きめる
『一』
そんな怒るな  短期だな
ほんの遊びだ  冗談だ
 バカを相手に  覚悟なら
 アホな気持に  変身だ
余裕ゆとりは  大切で
此処は大人で  居てやろう

『二』
眩し過ぎると  惚れた娘に
用い過ぎたね  色メガネ
 バカに調子に  のせたから
 アホがそのつら  晒してる
下手な言葉で  逆らわず
此処は大人で  従おう

『三』
一つ覚えの   質問や
同じハテナの  くりかえし
 バカに苛立つ  毎日に
 アホの焦りが  際立つよ
不意の張手を  食らうより
此処は大人で  居てやろう

二行きめる
『一』
後で後でと   後まわし
それが忘れが  関の山
 一の情報    二に挑め
 三四も恐れず  五に進め
 即行即時だ   後手踏むな
 大事な大事な  ことなのと

『二』
後で後だの   口上は
嘘の隠せぬ   安化粧
 今にみてろの  覚悟など
 現実離れで   惨めだと
 昔は還らぬ   日々なのと
 大事は大事は  今なのさ

『三』
後で後では   見苦しく
口に良く出る  褒められぬ
 世間しながら  恥をかき
 迷いに悩んだ  懐かしさ
 作詞は趣味の  範囲でも
 大事な大事な  ひまつぶし


≪そんなの俺が知るものか≫

≪文句ぶんくと言うけれど≫

二行きめる
『一』
電話してたと  言い訳か
 そんなの俺が  知るものか
配慮するにも  木屋町で
 ご覧の通りの  寝っぱなし
そんな事情が  理解なら
 何処にも警察  いるものか

『二』
トイレ中だと  後で聞き
 そんなの俺が  知るものか
気配り等は   屏風の絵
 ご承知通りの  寝っぱなし
そんな雰囲気  感じたら
 匂いの音痴も  悪しからず

『三』
人が来てたの  申し出も
 そんなの俺が  知るものか
遠慮しますは  風呂屋の湯
 天下にご免の  寝っぱなし
ここは隔離の  別天地
 ここでは大将  マイペース

二行きめる
『一』
文句ぶんくと  言うけれど
文句綴りの   文でない
 返せない程   介護受け
 不満云う程   アホでない
  頑固なんだが  一方で
  恩は死んでも  忘れない

『二』
文句ばかりと  言うけれど
文句書くかい  ぶんくだぞ
 ペグを流して  無精して
 五・七・五で  文字遊び
  一人遊びで   明け暮れて
  これが余生か  余裕だね

『三』
文句ぶんくと  言うけれど
文句聞いても  誰が云う
 何が起きたか  皆目に
 何だかんだと  言いがかり
  気管切られて  沈黙の
  先は知らぬが  ケセラセラ

主治医より一言

≪後であとで≫

 年令とともに今しなければならない事を今しなければ、後では出来ないと痛感しています。すぐにやった方が悩む事も少ないとわかってるんですがね。