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石原伸晃自民党幹事長『エイリアン』発言について

 すでにご存知の方も多いと思いますが、石原伸晃自民党幹事長が胃瘻患者をエイリアンになぞらえ、翌日の釈明会見においては「人間の尊厳を重んずる立場から、胃瘻をしない」という発言をし、波紋を呼んでいます。


時事ドットコム:「エイリアンのよう」=胃ろう患者で発言-自民・石原氏

厚労相、「エイリアン」発言批判 「胃ろう」めぐり - 47NEWS(よんななニュース)

伸晃氏 エイリアン発言で釈明「間違いだ しっかりとセンテンスを見て」


この発言に対し、PDNにも多数のコメントが寄せられております。一部を抜粋してご紹介します。

(2012/2/17 コメントを追加しました)
(2012/2/20 コメントを追加しました)

(2012/4/10 詞を送って下さる飛田洋さんからもコメントが届きました)

2月27日、PDNから石原伸晃幹事長宛に意見書を送付しました。PDNからの意見書の全文を公開しています。

No.1

最低な発言ですね。どう言い訳しても無駄でしょう。

医療費がかさんでいるのはPEGのためだ、PEG患者はエイリアンのようだ。意識のない(意識はあるのだが)PEG患者に話しかけているのは無駄なことをしている、という発言は患者さんやご家族には到底許しがたいものです。PEGの何たるかを知らないひとが、しかも自分の言動がいのちである政治家が、語ることではないですね。
患者さんやご家族には誠意を持って、謝罪してもらいたいと思います。 どう考えても弁解できないと思います。

No.2

これは大変だ。明確な説明が必要。言い訳ではなく。

No.3

抗議しましょう。なんちゅう発言だ。

No.4

石原伸晃自民党幹事長ともあろう方が、公共電波でこのような発言をされることにびっくりしました。

最下層の患者っていったいなんでしょう!エイリアン!
月に60万円もかかってる!→3食付きのホテルであれば60万円ですまないと思うのですが。
政治家の皆さんの月収はおいくらなのでしょうか?なにもされていないバッチだけの政治家さんにも税金が払われているんですよね!

寝たきりの患者さん、我々の大先輩をもはや人間として扱っていない!
ため息しか出ませんが・・・。
人間の命は平等ですし、日本の医療制度に格差がないことが誇りであったのではないでしょうか!!
そもそも、胃ろうを標的にして、姥捨て山を作ろうとしているのでしょうか?
先日の老年病学会も、国策何でしょうね・・・。

是非、身体障害児の集まり、ALSなどの難病疾患の集まりの方々からも意見を集めていただければと思います。
胃ろうだけがどうしてこんなにも肩身の狭い思いをしなくてはいけないのでしょうか!
PDNとして是非、胃ろうで救われている患者さん・ご家族、胃ろう患者さんのQOL向上を目指している医療者の肩身が狭い思いをしなくてよいような世の中に進むように意見をまとめていただきたい!
とりあえず、石原伸晃自民党幹事長には公共の場で、この発言について謝罪を求めるべきだと思います!!

No.5

alien 発言は、ひとえに彼の無学と無教養を表すものに過ぎず、むしろ、彼の発言の全体は、回復困難な末期患者の高額医療費と近未来の年金・介護についての財政問題に向かっているように小生は感じました。

「社会的な弱者」があのような「暴言」にどれほど哀しい想いをするか、は、情報を広く発信する知識人の責任に属する問題ではありますが、知識レベルの低い政治家の責任を追求するのは、小生には元々元気が出ない素材です。
それ以上に、一人の寝たきり老人のために毎月60 万円の支出をこれから若い人を含め、一人一人が支えていくという厳しい納税意識と、それにきちんと答える責任が厚生行政と医療現場に問われているという当たり前すぎる現実に、日本社会はもっともっときちんと向かい合うべきだと思っています。

無知で破廉恥な政治家を支えているのは、まさに私達国民です。我々国民が知的にならない限り、この国の未来には益々悲観的にならざるを得ません。

No.6

m3は「美味しいネタ」と言わんばかりに賛否の票取りをしていますね。中間結果に失望ですが。(略)

No.7

悲しいですね。

石原さんが見た患者さんへの胃瘻は医療費の無駄なのか、すぐやめるべきなのか、やめて殺すべきなのか。
一生懸命声をかけながらケアを行っている人は意味のないことをしているのか、やめたほうがいいのか。
全部やめて医療費と人件費を浮かす政策が石原さんの政治理念なんでしょうか、聞きたいですね。
知識も配慮のかけらもない人が国民の代表なんて悲しいです。

今日の「○○新聞」にたんの吸引や胃ろうなどの医療的ケアについて考えるシンポジウムに参加した人からの批判が掲載されていました。パネリストの医療者や支援者らが共同声明を出していたので、PDNからもぜひ共同声明を早く出してほしいです。

No.8

驚きました。公の場で、しかも政治家が発言する内容とは信じられず、怒りの前に、エイリアンだとか反応がないと言い切る彼の良識のなさ、品格のなさにあきれてがっかりして情けないです。

ご家族や真摯に介護・治療をしている医療従事者に対しても冒涜以外の何物でもありません。
是非、PDNを挙げて抗議していただくことを希望いたします。

No.9

胃瘻の患者さんたちを「反応がない」の一言で、個々人の人間としての尊厳を無視した発言をしているのはPDNとして看過すべきではありません。PEGの適応についてはPDNも真剣に取り組んでいる現状も伝えながら強く抗議すべきです。

この程度の感性の政治家が、たまに施設を見学した程度で、ひとりの人間としての患者さんとコミニュケーションしながら介護、医療の現場のスタッフが頑張っているのがわかるとは思いません。腹が立つやら情けないやら…。

No.10

発言は、許し難い。さらに、笑いながらあの態度。石原さんの人生を大きく左右する大失態です。
抗議文を出す事に賛成いたします。その本人・家族にとっては、命の生命線ともいえる胃瘻の事をそれも国会議員の立場で。同じ日本人として、情けないと思いました。

No.11

個人的には、残念なことが二つあります。

一つは、胃ろう栄養をせざるを得ない患者さんを、「エイリアン」「人間に寄生」と表現した、ヒューマニズム的なそのもの事よりも、その表現そのものに過激に反応されるだろう団体により、「PDN通信第38号巻頭」で鈴木先生が述べられている「社会全体としてのシステム作り・ル-ル作り」の議論そのものが、影響をうけるかもしれない、事です。

二つめは、オフレコ懇談会でも、講演会でもない、BSとはいえ、TV生放送で、不適切・不穏当な表現を使ってしまう大政党幹事長の見識のなさです。今の自民党の力からして、議論惹起のための確信犯とも思えません。
多くのみなさんとの温度差を御感じになるかもしれませんが、これが正直なところです。

2月17日コメント追加↓

No.12

石原氏の「エイリアン発言」には正直ビックリしましたが、これが彼の本音なんでしょうね。

「最下層の患者」って・・・そういう眼で寝たきり患者さんを見ているのか・・・。
医療費削減の格好のターゲットと思っているんでしょうね。

「人間の尊厳」って・・・寝たきり患者さんには尊厳がないと言いたいのでしょうか?

食べられなくなっても輸液をしない、経腸栄養もしない、その方が自然だから・・・って、
その結果栄養不足となり脱水状態で指1本動かせなくなって亡くなっていく人達を
「安らかになくなりました」と万人受けするような文学的表現ですり替えて伝えている。
間違った情報でも、大量に流し続けられたらマインドコントロールされてしまう危険性があります。

このままでは、日本の未来が危ういと思います。
こんな政治家を野放しにしないためにも、PDNとHEQが中心となって抗議していきましょう。

No.13

当然抗議すべきです。他の団体より何より、PDNが真っ先に声をあげなければいけないと思います。

No.14

急性期病院で安易にPEG、退院(転院)というのはいかがなものかと思います。これについては、PDNとしてもしっかりとしたガイドラインをつくるべきであると思います。しかし、この傾向はDPC導入後により増加しているように思います。DPCの導入を推進した厚生省にも考えていただきたい。

我々はPEGの適応について試行錯誤しているわけですが、現時点で個人的なPEG適応外は、唾液誤嚥のある患者さんです。唾液誤嚥の患者さんにPEGを施行することは、患者さんにとっても不利益な結果になると思います。
彼の言動に対して抗議すると同時に、安易なPEG造設(病院サイドの都合、家族サイドの都合、などなど)については、我々としても良しとはしていない事を伝えるべきで、その法整備をお願いしたいと訴えるべきであると考えています。

そして、倫理的な適応(尊厳死・・・)については、それとは別の議題として、法整備をお願いすべきと思います。

彼の発言の中で、『この5年間で何が変わったって、胃ろうですよ!・・・』とありますが、胃ろうの功の部分もアピールすべきです。PEGが普及する前は経鼻胃管・経静脈栄養だったのです!経鼻胃管の交換時に、事故が起こり死亡されたことも・・・。交換毎にレントゲンで確認、患者さんの苦痛も!! だからPEG。
中心静脈栄養はコストもかかり、清潔操作が必要、腸管が使える方は経腸栄養⇒だからPEGとなったのでは?(あまりコストのことをいわれるのであれば、中心静脈栄養と胃ろうの医療費の差額を見ていただきたい!)
そして、正しい適応で行われがPEGの患者さんだからこそ、長生きされるのでは? 長く生きられていることがそんなに悪いのでしょうか?
意思の疎通がないから、餓死してください!⇒あまりにもひどい仕打ちです!

彼にエイリアン扱いされた方々に、あの番組を見せ、脳波をとればビンビンに反応しそうですね!
先日、ある連盟のナースに講演をしました。何と喉頭がんの猫に胃ろうをして、育てているとのことでした。
話せばきりがないですが、医療費削減の標的にPEG患者さんを持ってくることは筋違いだと思います。

あともう一点。
神経難病に関わらず、内服薬が投与できることがPEGの何よりのメリットのひとつです。
PEGがなければ、その医療も受けられないということになります。医療費のことをいうのであれば、点滴の抗生剤は経口の抗生剤の1000倍の値がつきます。尿路感染・肺炎のたびに、PEGがあることでそういった医療費は削減できています。

2月20日コメント追加↓

No.15

エイリアン発言はいろいろな意味で不可解、許せないものを感じていました。

(略)

石原発言は胃ろう装置をエイリアンと称しているものと解釈しましたが、実に幼稚で感情的な発言でありましょう。以前は集中治療室の患者をスパゲティ症候群と揶 揄し、懸命に救命しようと奔走する医療者に冷水を浴びせることがはやりました。これも医療の現場を知らず、近親者の重篤な状態を受け入れられない家族や国民が、感情に任せて創った唾棄すべき言葉でした。今度は胃ろうをエイリアンと称して感覚的に排除しようとする意図があからさまで、吐き気がします。国民医療費を安くするために弱者に焦点を当てた戦略は卑劣です。


嚥下治療の立場から考えると、胃ろう問題は、①適応の判断をしないで無差別に作っている医師が多いことと、②胃ろうを特別視してほかの中心静脈栄養や末梢栄養などと違う問題かのように見せかけていること(栄養管理上の問題)、が抽出されます。m3.comなどに見られる医師らの発言が気持ち悪いのはなぜなのか、考察してみました。

① 適応の判断をしないで無差別に作っている医師が多いことに関しては、石原議員が見学した「意識のない回復の見込みがない患者に胃ろうを実施した結果」に直結しています。結果が分からないままに胃ろう を施された患者を侮蔑する発言は、無分別でありきっちり謝罪するべきです。また、適応を考えない胃ろうを実施している医師を批判するのであれば、胃ろうの適応が判断できる水準の嚥下診察を普及するために尽力したうえで、発言するべきでしょう。いまの巷の医師たちは、適応判断方法がないままにどうしようもなく胃ろうを作っているのですから。
胃ろうの適応は、経腸栄養を経口以外から比較的長期間実施することで、心身機能の向上が期待されるケースと、良好な心身機能が維持できるケースが挙げられます。

② 胃ろうを作ると、生命維持に必要な栄養を入れなければならないというのは、思い込みです。なぜならば、意識のない方の胃ろうでは1日700~1,000kcal程度が主流と思いますが、末梢輸液でもこの程度のカロリーを入れることは容易だからです。それでも末梢輸液の場合は1日100kcal、500cc程度の 投与で次第に衰弱していく栄養管理方法が、公然と推奨されています。胃ろうは腸管経由での栄養、輸液は血管経由での栄養の違いにすぎません。看取りなのであれば、胃ろうがあっても少量のさ湯を入れてあげることでゆっくり衰弱していきます。この問題の本質は、必要な栄養を続ける努力をするべきかどうかであって経路 が胃ろうであるかどうかではないはずです。

The Cochrane Library Reviewの解説(「リハ医の独白」より)

看取りの栄養管理については、照覧しえた限りでは判例がありません。治療中の栄養管理についての判例はあります。(大阪地方裁判所 平成13年(ワ)第6163号 損害賠償請求事件 平成12年12月27日判決)治療中については、栄養評価を行い必要な栄養を実施したことが評価され、棄却となっています。


胃ろうを作ると生命維持に必要な栄養をしなければならないとする意識は、理解できないわけではありません。しかしながら、そういった医師の多くは、胃ろうを作らない場合は必要な栄養をしないで看取るという選択をしていることでしょう。日常的に看取りの選択をしていながら、胃ろうができた途端に見取りができなくなるのは、従来の見取りは、医師自らの死生感と日本文化がもつ共通の死生感から必然的に導かれたものでは決してなく、医療が今よりも未熟でどうしようもなく、看取るしかなかった時代の様式が 形式的に伝承されているものにすぎません。胃ろうは新しく出現してきたかのように見える技術であり、胃ろうを用いた看取りが伝承されてきた形式の中にないため、生命倫理を正面からとらえてこなかった医師と日本国民がうろたえているだけなのです。見取りは厳然として存在しています。法は否定していません。批判されるべきは看取りの選択を否定する文化です。従来の儀式になかった胃ろうを批判しても、何も生まれません。胃ろうは多くの人を助け、医療の可能性を大きく広げました。胃ろうを用いながら看取る文化を形成することこそが求められていると言えます。

2月27日、PDNから石原伸晃幹事長宛に意見書を送付しました。意見書の全文を公開しています。

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