Q1.気管切開をしていると、食べられないですか?

Q1-3.カニューレを外せる状況について教えて下さい。

A:条件としては、①唾液や食事の誤嚥をしないこと、②カニューレ無しでも呼吸が無理なくできること、です。

スピーチカニューレでトレーニング中であれば、話すときには内筒を抜き、食べるときには内筒を入れ、誤嚥に備えましょう。ただし、気管切開を閉じることも検討されているような時期であれば、内筒を抜いて、誤嚥せず食事ができるかどうか、試してみてもよいでしょう。

また、誤嚥をカフで防ごうとしているとき、つまり食事をしていなくても唾液による誤嚥が多いときなどは、カフ付きカニューレをとることはできません。しばらくはつけたままで嚥下機能の改善に努めます。ただ、カフは膨らませすぎると食道を圧迫するとも言われていて、現在はあまり膨らませないのが一般的です。嚥下機能が良くなるにつれて、唾液や食べ物の誤嚥も少なくなるので、カフは必要なくなります。そうなれば、カニューレの離脱も可能です。

一方、嚥下機能は改善されていても、鼻や口を使った呼吸が十分できないという方がいます。その場合は、カニューレをつけたまま、呼吸筋アップのトレーニングを行います(Chapter4-1 Q1-6参照)。

なお、吸引用の通り道としてのみ気管切開口を確保している場合は、カフのない気管カニューレ、気管ボタン、シントラックなど(写真3)も使われます。これらには誤嚥防止機能はありませんので、唾液を誤嚥する方には適していません。

写真3カフの無い気管カニューレ、気管ボタン
気管カニューレ         気管ボタン
写真3 カフの無い気管カニューレ、気管ボタン

コラム:痰の吸引は気管切開していても自力で!

気管切開をしていると、痰の吸引は器械に任せることが多くなりますが、できるだけ自分で咳払いをして吐き出す練習をしましょう。気管切開というのは穴が開いているだけですから、この穴から自分で出せばよいのです。

器械を使った吸引は、無理やり吸い取られていくので苦しいこともありますし、その行為を許されている人も限られています。でも自力で出すのであれば、鼻水をかむのと一緒です。また、カフの上の唾液を引くための口がカニューレには用意されていますから、素人でも本人でも感単に引くことができます。

気道内の異物を吐き出す力、これを鍛えることが嚥下機能改善にも有効です。

<まとめ>

  • 気管カニューレは、入れたままにせず、離脱のための努力を。呼吸や話すための訓練が嚥下機能の改善にも繋がります。ただし、誤嚥のリスクに対する安全性の確保を忘れずに。
  • カニューレの選択は、本人の機能や目的に合わせ、リハビリテーションの視点を持ちましょう。

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