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高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン(試案改訂第一版)を読んで

非常に細かい様々な状況、条件も含めて考察されているよく練られた文章で、読んでいてなかなかいいな!と感じました。

声高に強制することもなく、fuzzyな部分はそれなりにぼかして、“努力する”、“許容される”、“妥当である”などといった言い回しになっており、作者の苦労がうかがえます。

このような内容ならばガイドラインとしてあってもいいなと思いました。

また、終末期の対応に関して多く述べられており、その点も好感が持てます。

個々の死生観を重視し、そして家族の現実の負担まで汲み取っているのもいいですね。

私の意見としては、最高責任者である主治医と患者ないしは患者の家族との時間をかけた真摯な話し合いで水分栄養剤投与の適応を個々で決めていくというスタンスであり、長年そのように実践してきました。

過去、この方針で問題となったことはありません。

しかし患者家族との話し合い、説明~ムンテラに関してはある程度“年の功”が必要で、若いぺーぺーの医師にはちょっと無理なような気もちょっとします。

専門的な医療の知識だけではなく、キリスト教、仏教含めた宗教観への理解や一般常識的な事柄、相手の言い分も認められる寛大さ、そして度量の大きさが主治医に必要とされます。

世界的な観点からみれば“宗教観”はきわめて重要なファクターであり、ガイドラインに当然加味されるべきことなのですが、この宗教感に関する記述がまったく入っていないことにちょっと異和感を感じました。

しかしそれ以外は前述したとおり、いい内容だと思います。

医療法人三和会東鷲宮病院 循環器・血管外科 副院長 褥瘡・創傷ケアセンター 水原章浩