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なにくそ!俺はここにいる79

京都府 飛田洋さん(65歳)

お陰様です

悪魔の囁き


『一』
俺は動きを なくしたけれど
頭は元気で しっかりしてる
変わらない みんなの世話で
お陰様です のん気にしてる
『二』
夢と色気は つれないものよ
体が逆らい むなしいかぎり
やすらぎと ゆとりを知って
お陰様です 寝たきり暮らし

『三』
笑い上戸で ごまかしながら
命を震わせ 泣いたりしてた
しあわせを おぼろげながら
お陰様です こうして得てる
『四』
業だ悲運と なぐさめ聞いて
涙で従がい もしやで更ける
明日こそは 明日をたよりに
お陰様です 無理なく生きる


『一』
指をさされる  事もなく
丸くこの世を  渡ったが
なにの罪やら  罰なのか
今の暮らしに  逆らって
口に出来ない  捨て台詞
後は野となれ  山となれ

『二』
バブル景気も  踊らずに
足を地につけ  渡ったが
過去を伝える  筈なのが
つらい立場に  腹が立ち
知らず思わず  殴り書き
後は野となれ  山となれ

『三』
ガッツ我慢で  頑張るが
がの字頑固の  柄でない
匙を投げずに  粘り抜き
覚悟していて  希望待つ
そして心にゃ  禁句だが
後は野となれ  山となれ


暖簾を守る

橋が壊れる


『一』
頭下げてりゃ  銭をうみ
もみて次第で  稼ぎだす
 馬鹿は偉ぶり  逆らって
 下手に騒いで  損をする
俺は馬鹿売り  暖簾に命

 『二』
金のある奴ぁ  喧嘩せぬ
何もないのが  暴れてる
 普段見かけぬ  金持つと
 浪費するのは  残らない
質素しまつで  暖簾が命

『三』
泥をかぶろと  骨を折り
汗をかく気に  名も残る
 苦労苦の字で  苦心して
 知恵と知識で  守り抜け
何があっても  暖簾に命


『一』
橋が壊れる  泣いている
 東京五輪で  急かされて
 幾く年月が  過ぎたやら
橋の寿命を  うったえる
 君と初めて  会った日は
 若い希望に  向かってた

 『二』
橋が壊れる  泣いている
 万博景気に  立ち上がり
 風雪たえて  こらえてる
橋の補修を  ぬかるなよ
 君の愛にも  ほころびを
 知って随分  あわてたよ

『三』
橋が壊れる  泣いている
 突貫工事と  手抜きやら
 積載オ-バ-  ひどすぎる
橋の手遅れ  見られぬぞ
 君と亀裂は  あったけど
 早く治まり  良かったよ


頑張らないがあきらめぬ

いなおり人生これからだ


『一』
何年寝たきり  やってるか
数える事なら  もうやめた
 寿命あるまま  生かされて
 今年も何とか  なりそうだ
頑張らないが  あきらめぬ

『二』
面倒かけてる  この暮らし
惨めな自分に  泣けるけど
 感謝するほど  なにくそと
 気持に報いる  気にさせる
頑張らないが  あきらめぬ

『三』
奇跡は稀でも  たまにある
医学の進歩は  めざましい
 迎えの誘いが  来ぬうちは
皆のお世話に  なるけれど
頑張らないが  あきらめぬ


『一』
夢はやぶれて  しまったが
いなおり人生
いなおり人生  これからだ
動けぬ話せぬ  我が身でも
生きてる限り  死にはせぬ
迎え来るまで  それまでは

『二』
役に立たずに  マイナスの
いなおり人生
いなおり人生  はじまりだ
描けず望めぬ  明日よりか
意地ある限り  生きている
頑固おやじと  呼ばれても

『三』
嘘でかざらず  つくろわず
いなおり人生
いなおり人生  これからだ
空しく悲しい  この身だが
しがらみ離れ  それなりに
これで本音で  過ごせそう

主治医より一言

<<頑張らないがあきらめぬ>>

 たしかに最近の医学の進歩は目覚ましいものがありますね。人iPS細胞(新型万能細胞)を使った治療が早く本格化すればいいですね。それまでは、小生との御付き合いの程宜しくお願いしますね。