飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる208

京都府 飛田洋さん(77歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

岡野先生へFAX送信のご挨拶 2020年6月1日(月曜日)

 

 前略、緊急事態が解除され自粛生活も普通に戻ったみたいで
すね小生、コロナニュースにはうんざり、食傷気味で御座います。
選挙開票速報もどきに感染者人数を知らされたり、退屈凌ぎに
動きまわるニュースに興味なく、いつの間にかニュースばなれ。
私の自粛生活は二十年経過、終身だから、この件からパスしま
す。
考えてみたら、木枯し紋次郎の世界、関わりないことでした。

 異常に暑いそうですが、大変ですね。お蔭さまで今のところ暑さ
知らずでおります。岡野先生は私と違い、貫禄がありますから、
熱中症にも、スタッフともどもご自愛下さいませ。

 雨だれが友達の一間より一筆啓上。


六月分のペグ通信原稿五枚送信致しました。どうぞ宜しくお願い
します。

そこで《マスクさせ さらに予防の 熱中症》なーんてね
                     飛田 洋

■ハンサ・無責任者の独断と偏見 《二行詞》


①・おそすぎと 非難するより 家にいろ
                 五輪やるなら じっと我慢だ

②・ひとことで 次から次へと 言いがかり
                 言わぬが花と 頼むのやめた

③・戦時下と 平和ボケでは ズレがある
                 おなじ土俵は 可哀そうだよ

④・耳ふさぎ 水を入れずに すすぐのと
                 教えないのか 伝えないのか

⑤・この部屋で 大声出すな つばが飛ぶ
                 考えてみりゃ かなりの密閉

⑥・知らぬ間に すっぴん生活 五十年
                 ずいぶん時間も 節約したな

⑦・辛抱を すれば明日が 見えて来る
                 希望あるだけ 我慢にトライ

⑧・知らぬこと 口にせぬのが もの知りと
                 思わす筈さ かしこく見える

⑨・備えしろ 文句言うのは その後じゃ
                 泥縄式じゃ ほめられはせぬ

⑩・久しぶり 背中がきれいと ほめられる
                 ペグのお蔭と ほくそ笑む俺

⑪・やらずして 出来ないなんて しないだけ
                 なさぬは人の なさぬ事なり

⑫・言わずとも いい事いつも 耳に入れ
                 いの一番を 言わぬいら立ち

⑬・風呂の世話 手抜きトリオで 見参か
                 そうは問屋が 卸しはしない

≪噂はこわい≫

≪がんばっぺ≫


『一』
ここだけの話 ですけどな
お向かいの 前田さん
しゅうとめさんと嫁さんと
子育て法で もめてると
 七十五日と 言うけれど
 噂はこわい 噂はこわい

『二』
ここだけの話 ですけどな
役員の 役所さん
取り引き先の 接待を
受けてたなんて うたがいが
 火のない所と 言うけれど
 噂はこわい 噂はこわい

『三』
ここだけの話 ですけどな
横丁の 横井さん
きれいな人と 二人づれ
目撃されて 浮気とか
 根も葉もないと 言うけれど
 噂はこわい 噂はこわい


『一』
二人で戻る 通学バスで
口数すくなく 何気に云った
 雪っ子残る 春っ子来れば
 一足お先に 東京へ
都会の探検 済ませておくべ
がんばっぺ がんばっぺ

『二』
六人部屋の ふるさと自慢
貴女を忍んで 目がしらうるむ
 恋っ子胸に 愛っ子欲しい
 メールが届かぬ 変わらぬか
良くない色いろ かんがえ過ぎと
がんばっぺ がんばっぺ

『三』
しばらく待った 待っては見たが
縁ない人だと 諦め切れた
 夢っ子あるさ 時っ子あるさ
 一からやるよと 言わないで
今まで通り 歩いた道を
がんばっぺ がんばっぺ



≪ペグで食事≫

≪寝たきり爺≫


『一』
家族が時間で 入れに来る
ペグの食事は はてなだな
 TVに乍らの 生活で
 朝から夜まで 眼の酷使
 退屈凌ぎか 文字遊び
 飽きもしないで こりもせず

『二』
家族がきちんと 入れに来る
ペグの食事が 昼の月
 TVのもうしご PCも
 時代の流れに 遅れがち
 反省後悔 するだけど
 匙を投げない 諦めぬ

『三』
家族は忘れず 入れに来る
ペグの食事は 人次第
 小さな疑問を 抱かせて
 この先誠に 先知れぬ
 人間死ぬまで 命あり
 迎え来ぬから 頼り切る


『一』
誠にみごとな 寝たきりおやじ
とこずれ騒ぎを 起こさぬし
かゆい痛いと 騒がない
 不便な事は あるけれど
 拾いものだし 考えりゃ
  命があるだけ 儲けもの

『二』
誠にみごとな 着たきり爺
不細工おやじと かやの外
ガーゼ咥えた よだれくり
 不満言っても 仕方なく
 我慢我慢の 頑張りで
  贅沢云わねば 気にならぬ

『三』
誠にみごとな 寐たきり爺
年中寝間着 着た切りで
文句云う気は 別にない
 別にデートを するでなく
 臭くないなら 構わない
  姿を男は 気にしない


主治医より一言

《ペグで食事》
 三密対策、マスク着用、手洗い、うがいの非日常的生活が徐々に日常として受け入れられつつあるように思います(一部の方を除き)。治療薬、ワクチンが出来るまであと少し、頑張れと云う気持ちです。

 ペグで食事を20年間続けていただき、安定した栄養管理が継続されており、成人病含めて内科的にもまったく異常を認めておらず主治医としても、大変喜んでおります。人間死ぬまで命ありです。今後とも宜しくお願いします。(岡野拝)