飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる191

京都府 飛田洋さん(75歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

■ハンサ・無責任/二行きめる個人の見解

《ペグにして》平成31年1月1日(火曜日)


 新年早々の判断ミスで予定原稿を消去、急遽次号予定稿。

 

 《ペグにして》ということで去年から《床ずれ》の体験談を書いて来
た。どうも老人は要領が悪い。想う事と話す事と、書く事は違って
来る様だ。単刀直入にペグを論じればチョーイケルって事。
 《床ずれ》の心配もせず、平成は無事終わってくれたが問題の
《汗疹》には、ここ数年悩まされている。でも涼しくなり寒くなり自然
治癒力で痒さと縁遠くなっている。《ペグにして》栄養滋養が行き
届いたから、昔のように暴飲暴食が出来ないお陰と思っている。
 仮定の話であるが、現役時代に《ペグ》を知っていたら、岡野先
生に出会えていたら間違いなく健康でも《ペグ》と併用していた筈
だ。《ペグ》で食事しながら面談、事務処理、電話も出られたろう
し、運転もした筈だ、と後悔している。ずっと介護している女房によ
ると退院以来体形に余り変化なく妻自身の衰えで入浴補助は、
最近疲れるそうで、大変申し訳なく思っている。
 世間では年寄りは免疫が衰え、風邪、肺炎が大敵らしいが、
《ペグにして》これらを意識した事は一度もない。また肌が乾燥し易
く塩を吹くらしいが、私の場合女房が時より熱でも調べるかの如く
私のヒタイに手をのせて、あわててエプロンで手を拭く光景をよく見
かける。相当脂ぎったじじいのようだ。
 これは冗談でない余談で暴論だが《ペグ》からの流動食は美容
にも良いみたいだ、ヌードモデルの併用は感心しないが主婦のダイ
エット、産後の肥立ちの悪い女性にお薦め出来るのも、体験と素
人の個人的かんがえからです。
 そこで 《ペグにして 夏冬寝たきり ケ・セラセラ》なんてね 完

■ ハンサ・無責任者の川柳風《二行詞》


トランプと 変わりやすいが 何とやら
               諦めさそう 馴れのおかしさ

冬支度 するにゃ早いぞ 我慢だよ
               予定見てるが 真冬どうする

勇ましい 放屁のおとが 聞こえ来る
               主はともかく 元気あるらし

聞いていて 気ぜわしくなる 此の季節
               何もせぬのに 聞いてて焦る

引き篭り 世間しないが 生きている
               顔を見せぬが 元気でいるか

話せない 示さぬ教えぬ 伝えない
               後のまつりは 覚悟の上じゃ

贈られた 似顔絵だけど 知らぬ顔
               俺はこんなに 不細工なのか

まあ・まあと まあが気になる 会見は
               平成生まれの 進撃そのもの

人のこと 悪く言う人 居るけれど
               自分の力量 知っているやら

ワイドショー ネタは尽きずに わいて来る
               平和でいても 話題はあるな

風呂の日は 疲れるならば 減らそうか
               準備して待つ 時間が惜しい

あら捜し 名人なんて 言うけれど
               ミスをあばかれ 開き直りか

アホな事故 思いもしない 気が付かぬ
               これを問われる 社長は辛い

≪ほっちっち≫

≪爺エレジー≫


★ほっちっち  かもてなや
お前の子でなし 孫じゃなし★


あかの他人じゃ ほっちっち
コセコセするのは嫌だから
丸く真ん丸   真ん丸丸く
大草原に    居る様に
広い心で    暮そうや


亀の歩みじゃ  ほっちっち
セカセカせずとも程々に
急かず焦らず  焦らず急かず
やまない雨は  降らぬよに
待っている筈  ピリオッド


俺の勝手じゃ  ほっちっち
ケチケチするのは趣味でなく
余裕ゆとりだ  ゆとりだ余裕
裸で生れ    今になる
死んで行くのも このまんま

★~★ 繰り返し



頼まないのに  じじい
何と後期の   高齢者
 月日たつのは  早いぞと
 他人が言うより 早すぎる
  ついて出るのは 寝たきりの
  口にするのは  爺のエレジー


若い息吹きと  あすなろを
人より多く   夢見てた
 悪い奴とは   言われぬが
 偉い人には   縁がない
  知らず思わず  引き篭もり
  そらんじている 爺のエレジー


やがて来るはず 喜寿米寿
天の運命に   逆らえぬ
 今日の暮らしを 一日を
 ちから限りに  生き抜くさ
  やけのやんぱち なにくそと
  奮い立たせる  爺のエレジー


≪暗闇暮らし≫

≪ひまつぶし≫


『一』
夜更けに寝言を 聞きながら
 眠れず一人   大人しく
 暗闇暮らしで  明け暮れる
雨垂れ実に   騒がしく
 早く夜明けよ  訪れと
 空が見えない  部屋に居る

『二』
疲れた女房は  背中見せ
 動きを忘れ   眠るのに
 暗闇暮らしで  明け暮れる
猫目に近い   この目でも
 今の時間は  薄明り
 暗さ静かに  押し寄せる

『三』
寝息や吐息に  異常はと
 聞くとはなしに 気を配る
 暗闇暮らしで  明け暮れる
時計の針を   遅くとも
 僅かずつでも  進むから
 悪くないのさ  俺は好き


『一』
ベッドのあるじの  ひまつぶし
少し似てても  気にしない
盗用なんかは  目ではない
 俳句なんかは  切りがなく
 誰か何処かで  詠んだかも
 そんな理屈の  ひまつぶし

『二』
寝たきりじじいの  ひまつぶし
二行似てたら  良くないが
一行ぐらいは  ありがちだ
 下手な作詞の  明け暮れで
 そんな疑惑を  避けるのが
 俺の十八番の  ひまつぶし

『三』
着た切り姿で  ひまつぶし
決めの台詞もんくが  出来たなら
活用したくて  たまらない
 自由な暮しで  引き篭もり
 いらぬ気遣い  なきように
 俺のペースで  ひまつぶし


主治医より一言

《のろい鈍い》

NHKの誤った報道によるペグバッシングの結果、小生が初めてペグを施行した 1984年頃のように経鼻胃管や中心静脈栄養による栄養管理が増えていると聞いています。飛田さんの声を聴いてもう1度初心に帰り、患者さんにとって、家族にとってストレスフリーの正しい栄養療法の啓蒙に努めたいと思います。(岡野拝)