飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる145

京都府 飛田洋さん(71歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

【雑文暴論】⇒尾てい骨の痛み

 自宅療養に入ってから、尾てい骨が痛いと騒ぎ出した。

それまでのベッドが変わったのと、生来痩せていたのに、
自分の意思で全く動けず難題を家族に突きつけていた。

病院では二時間毎に体位を変えられていたかも、しれない

座布団を当てたり、円座にしたりして痛みから逃げていた

そのうちペグの栄養滋養で体調が改善されたからか、一切
妻子に委ねて、気楽に生きているからか知らないけれど、
いつの間にか、尾てい骨の痛みから解放されている。

 ちなみに21世紀の終わりから自分の体重を知らない。

【俺流・文句と違う・ぶんくやで】

※ 夏さかり 暑さが分かる なんとなく

※ 夜中でも 世話する妻に 泣けて来る

※ 川あそび 楽しむのなら なめるなよ

※ 卑怯な死 無念の死かも 名を惜しむ

※ 文無しは 身軽なのだが なさけない

※ 蝉しぐれ 夜明待ちかね 鳴きさわぐ

※ 休みなど 取れぬ仕事の なつかしさ

※ 犠牲者に 申すまでなく 南無阿弥陀

※ 夜明しか 冷房切れずに なやんでる

※ 何ごとも やる気一つだ 為せば成る

 今朝になり 寒くないかと 妻は聞き

最近の天候不順に、皆様のご健康をお祈り申し上げます。

平成26年9月1日(月曜日)

飛田 洋

ひとりごと

二文字の恋


『一』
生きる楽しみ  うばわれて
生きる励みも  かいもない
 だけど迎えが  来ないから
 無駄な寿命が  うらめしい
  プラス思考で  いるけれど
  プラス思考も  つらいもの

『二』
やる気元気が  もちあじも
やる気意欲の  価値はない
 猫に小判じゃ  ないだろか
 豚に真珠じゃ  なかろうか
  そんな財宝たからが  なにになる
  まさに財宝の  もちぐされ

『三』
今日も明日あしたへ  明け暮れる
今日も未来は  ひらかない
 咽や咳き込み  起こすけど
 それは発作と  変わらない
  時間グスリで  おさまるし
  時間来るまで  今日も待つ


『一』
たった二文字ふたもじ  好きだよと
言えず困った  日もあった
 恋にあこがれ  背伸びして
 迷いねむれぬ  日々でした
  時が来たなら  そのうちと
  胸はひそかに  燃えていた

『二』
たった二文字  好きですが
聞けず悩んだ  夜もあった
 軽く見てたら  いけないし
 歩くばかりで  日が過ぎた
  星が出はじめ  サヨナラが
  夢をつないで  くれていた

『三』
そして二文字  好きなのと
云えた互いは  無理してた
 目線そらした  はにかみに
 話し途切れて  日は落ちた
  思い告げたり  告げられて
  若いふたりは  明日を見た

感謝だ感謝だ家族に感謝

見込ないけどあきらめぬ


『一』
口に出せぬが  心の内じゃ
 感謝だ感謝だ  家族に感謝
次から次へと  呼びつけて
何だかんだと  指示をする
 それを病気と  気にかけず
 受けて流して  くれている

『二』
後のまつりの  嘆きを忘れ
 感謝だ感謝だ  家族に感謝
後から後から  ベル鳴らし
いつも色んな  無理をさす
 こんな病気の  世話させて
 つらい犠牲を  こらえてる

『三』
介護さすたび  涙でうるむ
 感謝だ感謝だ  家族に感謝
何から何まで  呼び出して
とても途惑い  させている
 こんな病気に  見込みなく
 悪いわるいの  わびばかり


『一』
夢は見向きも  しないけど
 見込ないけど  あきらめぬ
夢のカケラが  あるかぎり
 繋ぎ合わせて  追うてみる
夢が千切れて  しまうなら
 それで御陀仏  南無阿弥陀

『二』
灯り揺らめき  はじめたが
 見込ないけど  あきらめぬ
灯り消えては  いないから
 匙を投げ出す  俺じゃない
灯りかすかで  あろうとも
 弱音吐かぬぞ  なにくそだ

『三』
感謝・感謝で  生きていて
 見込ないけど  あきらめぬ
感謝しなそに  見えるのは
 それは不徳の  せいだろう
感謝知らずは  ばかたれで
 生きる値打を  見い出せぬ


寝たきり爺のひとりごと

短気は損気と言うけれど


『一』
役に立たない
寝たきりじじいで  あるけれど
俺はしっくり  こないのさ
 毎度寝ている  訳じゃなし
 動けないから  やむをえず
 上を見上げて  いるのだよ

『二』
過去の遺物の
寝たきり男と  言われたら
俺はすっきり  聞けるのさ
 長くこうして  いるけれど
 やる気意欲が  あるだけに
 未練つのるし  やるせない

『三』
未練持たない
寝たきり爺で  あるけれど
俺はしっくり  しないのさ
 世間並みには  老け込んで
 枯れる歳だと  わかるのに
 そんな気配が  何故しない


『一』
短気は損気と  言うけれど
短気は損気と  知るのだな
 言い訳ひとつ  云わせずに
 事の成り行き  たしかめず
 声をあらげて  がなるけど
 それは利口に  見えないね

『二』
短気は損気と  言うけれど
短気と損気と  手を切れよ
 本とを知らず  見もせずに
 思いちがいは  ありがちだ
 吐いた言葉は  飲めぬから
 下手に批判を  するでない

『三』
短気は損気と  言うけれど
短気は損気で  うらみ買う
 本意を聞いて  とらわれず
 誤解するなよ  こだわるな
 腹を立てずに  ゆとり持ち
 いつも世間に  よゆうだぞ


新世しんせい倫理じゃないけれど

 

『一』
新世倫理じゃ  ないけれど
 ものに立場が  あるものだ
  月が出るから  日はしずむ
俺がおれがの  夜は終わり
 お役ごめんを  受け入れて
  下手に逆らう  こともない

『二』
新世倫理じゃ  ないけれど
 ものに順序が  あるように
  親がするから  子が真似る
鳶にタカなど  まれなよに
 背中追うのも  まれになり
  過度の期待は  つみつくり

『三』
新世倫理じゃ  ないけれど
 ものに節度が  ありまして
  釘は目立たぬ  ほうが良い
爪のつるから  ナスが出る
 馬鹿な夢見て  いるよりも
  足を地に付け  根を張らせ

 

主治医より一言

<<【雑文暴論】⇒尾てい骨の痛み>>

 尾てい骨の痛みが改善されたのは、安定したペグの栄養管理以外に、早期にウォーターベッドを導入したのが効果的だったと思います。ちなみに、最近はベッド上で体重測定が出来るようになったと聞いています。一度、確認してみましょうね。