飛田洋さん

なにくそ!俺はここにいる142

京都府 飛田洋さん(71歳)

飛田洋さんは、平成10年11月に脳梗塞を発症しました。

完全四肢麻痺、構音障害、嚥下障害を認め、入院中に胃ろう造設術、気管切開術が施行されました。平成12年6月に在宅へ移行され、かすかに動くようになった指先でパソコンを操り、創作活動を続けています。

毎日書きためたものは、月刊誌としてまとめられ、製本されています。

【雑文暴論】⇒ペグ登場

きっかけは多分、細い私の血管のせいだろう。ナースが、
点滴針をさせずに漏らし医師を何度も走らせたからだ。

装着時の胃カメラを飲み込むのに注意を、はらっていた為
ペグの装着をきづかなかった。術後、入浴で目にする事が
出来たが小さいのには驚いた。点滴袋を腰に着けると予想
していたからで、それ以後は自宅でのペグ交換が続いてる

【俺流・文句と違う・ぶんくやで】

※ 賑やかな メーデー恋し 過去の日よ

※ 可能なら 願いはもとに かえりたい

※ 遠出など 出来る訳なく 変わりなく

※ 担がれて 梯子はずされ かえれなく

※ 何処から 紛れ込んだか 蚊にさされ

※ 犠牲者の さだめの悪さ かなしさよ

※ 気の緩み 予想だにせぬ 風邪をひき

※ 思い出す 仕合わせ者よ かほうもの

※ 腹をたて 怒ってみても 変わらない

※ デモ隊に 訳もわからず かけつける

※ 支持率が 下がり苦悩の 甲斐もなし

※ 文句より 礼と云うなら かなわない

※ 道路出来 村は待てずに 過疎となる

※ 拉致家族 憂い晴れるか かたずくか

今日ですら、この暑さ、これからの往診、大変ですね

先生始めスタッフ皆様のご健康をお祈り申し上げます。

平成26年6月1日(日曜日)

飛田 洋

俺の言い分 !

皆は良いな


『一』
痛いいたいと  聞くけれど
ひとの痛さは  わからない
 俺は寝るだけ  なんだから
 出来る事なら  変わりたい
そんな気持は  あるけれど
侭にならない  憂き世だよ ☆

『二』
寒いさむいと  言うけれど
外へ出ぬから  わからない
 俺は寝たまま  暮らすから
 お蔭さまだよ  気にならぬ
何かなければ  間が抜けて
惨め過ぎるよ  泣けて来る

『三』
辛いつらいは  おたがいさ
口に出せたら  こぼしたい
 俺は寝ていて  あきらめの
 似合う寝巻で  明け暮れる
欲は出さずに  足るを知り
迎え来るまで  世話になる

☆ 侭~まま


『一』
皆は良いなあ  愚痴られて
 何も云えずに  聞くばかり
歌をわすれた  カナリアと
 声をとられて  寝てるだけ
漫画みたいな  成り行きを
 笑い飛ばして  あきらめる

『二』
皆は良いなあ  食べられて
 遠慮しないで  食うばかり
食べる楽しみ  うばわれて
 生きる望みは  消え失せた
機会ないから  死ねぬから
 これも運命と  あきらめる

『三』
皆は良いなあ  出かけられ
 外を見たいが  留守ばかり
もしも自由に  出られたら
 学区めぐりを  してみたい
空巣みたいに  あてもなく
 町をさまよい  ふらつくさ


たった一度の人生なのだ

爺さん爺さん極楽とんぼ


『一』
何をいらいら  かりかりと
相手かまわず  からんでる
 たった一度の
 たった一度の  人生なのだ
  後で悔いたり  せぬように
  下手な恨みを  買うなかれ

『二』
何をいらいら  せかせかと
急くな騒ぐな  あわてるな
 行った限りの
 たった一度の  人生なのだ
  亀で生きても  ウサギでも
  ゴール地点は  おんなじだ

『三』
何をいらいら  うろうろと
下手な思案は  寝るが勝ち
 おっと誰でも
 たった一度の  人生なのだ
  過ぎて空しい  くりごとを
  未練がましく  追うなかれ


『一』
爺さん爺さん  極楽とんぼ
 なんの因果か  知らないが
  毎夜欠かさず  咳き込むの
咽も負けずに  飽きもせず ☆
 時間かまわず  良くやるわ
  これが昂じて  愚痴になる ☆

『二』
爺さん爺さん  極楽とんぼ
 何だかんだと  ベル鳴らし
  毎度まいどと  呼びつける
大人買いでは  ないけれど
 それを纏めて  くれないの ☆
  塵も積もれば  愚痴になる ☆

『三』
爺さん爺さん  極楽とんぼ
 顎でつかうと  言うけれど ☆
  目線追うのも  つかれるの
うんと大きな  差があれば
 文句言わない  ぼやかない
  だから不満で  愚痴になる

☆ 咽 ~むせ 

☆ 昂じ~こうじ

☆ 纏め~まとめ

☆ 塵 ~ちり 

☆ 顎 ~あご 


天知る地知るワレは知る

それでも僕は生きている


『一』
誰も見ていぬ  責められぬ
 勝手気ままに  やれるけど
  天知る地知る  ワレは知る
声の出せない  我が身だが
 下手な抗議の  その代わり
  神のさばきが  あるだろう

『二』
気分しだいで  気まぐれで
 三日つづかぬ  ふるまいは
  天知る地知る  ワレは知る
知らぬ顔して  邪魔をして
 悦でいるけど  そのうちに
  神のお仕置き  食うだろう

『三』
恩に着せたり  ぼやいたり
 思う気ままに  いるけれど
  天知る地知る  ワレは知る
我慢ついでの  あきらめで
 無駄な告げ口  するよりも
  神のさばきが  待つだろう


『一』
盆もないない  暮れもない
 あるのは時間  ひまなのに
  それでも僕は  生きている
不便不自由を  愚痴るより
 神とホトケが  おられたら
  なんの罰かと  問いたいな

『二』
動けないない  見込みない
 あるのは今と  悔いだけど
  それでも僕は  生きている
君に世話させ  すまなくて
 神とホトケを  すわらせて
  どんな咎かと  聞きたいな ☆

『三』
夢がないない  意地もない
 あるのは迷い  とまどいで
  それでも僕は  生きている
知らず犯した  あやまちに
 神とホトケの  慈悲もない
  へんな罪かと  問いたいな

☆ 咎~とが

主治医より一言

<<雑文暴論⇒ペグ登場>>

 1984年にペグを初めて施行してから、すでに30年が経過しています。当時は、多くの患者が、食べられないというだけで、長期にわたり点滴や経鼻胃管で加療を受けておられたのを思い出します。

 その頃は、カテーテルタイプのペグしかなかったのですが、その後、整容面、活動面を考慮して、ボタンタイプのペグが多く用いられるようになりました。飛田さんにもそれを用いているので、外観からはあまり目立たなかったんですよ。

 今後もペグにまつわる話を楽しみにしていますよ。