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No.593 出血を伴う不良肉芽について   From いっけ
久しぶりの相談です。過去の相談もチェックしてみたのですが・・・バンパーチューブタイプのPEGで、造設して1ヶ月半程経過したケースです。6時の方向に少し大きい不良肉芽ができてしまいました。出血も伴っています。PEGケアを使用しています。週2回の訪問入浴をしているので、入浴前にぺグケアをはずし、入浴後に貼用しています。PEGケアをはずすとじわじわ出血してきます。2週近く経過していますが、あまりよくなりません。不良肉芽の消失は時間がかかるということですが、このまま同じケアで様子をみていったほうがいいでしょうか?それとも先生に外科的に除去してもらったほうがいいでしょうか?利用者様の疼痛等の苦痛の訴えはありません。介護者の不安を取り除くためにもアドバイスしてください。おねがいします。

Re : 出血を伴う不良肉芽について   From border.s

外科の立場からすると大きいようなら切除もしくは硝酸銀溶液による焼灼をお勧めします.そのあとPEGケアなどにて保護することで再発予防ですね.同じ6時方向にできるのなら固定法なども考慮してください.切除後出血するようならストマ用のパウダー使用して圧迫すると止まります.硝酸銀は一度の治らないので治療法は医師と相談して選択してもらってください.


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From みっくん

皮膚障害の状況はなかなか文章では伝わりにくいですね.(写真でもあるとわかりやすいのですが‥‥)自分ならどうするかを考えてみました.瘻孔の状況が想像ですのであくまでも個人的見解としてお読み下さい.
1.ペグケアをはったりはがしたりという刺激で出血する可能性は?もれがないようなら一度ペグケアの使用を止めてみる.2.小量の出血でご本人様に苦痛がないようならそのままでよしとする.3.硝酸銀による肉芽焼灼を試みる こんな選択肢でしょうか?私なら出血があれば一度肉芽焼灼をやってみるかもしれません. エビデンスに乏しいお答えですみません.みっくんでした.


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From もっち

いっけさんお久しぶりです、訪問看護師のもっちです。
訪問入浴を受けている利用者さんということなので、外来通院は大変そうですね。
訪問看護の利用者さんは「外科的に切除」とか「硝酸銀での肉芽焼灼」を受けに外来に行くのが大変です。といって、往診していただける外科や皮膚科の先生を見つけるのもなかなか大変です。
みっくん先生がおっしゃるように、少量の出血でご本人に苦痛がないようなら、今の処置を継続してみてよいのではないでしょうか。border.s先生のコメントにあるようにストマ用のパウダー(バリケアパウダーやカラヤパウダー等など)は結構重宝です。ただ、パウダーをふりかけたその上にPEGケアーを貼ると粘着力が落ちますのでご注意を。PEGケアー使用で2週間との事、結構大きめのイソギンチャクのようにピラピラした不良肉芽は、ジワジワ出血するし落ち着いてくるのに時間がかかりますので、長期戦覚悟でじっくりとケアをして下さい。外部バンパーの位置をこまめに変え、スポンジで横向きのトルクがかからない様に固定し、訪問入浴で綺麗に洗ってもらいましょう。PEGケアーを貼る時は、不良肉芽をしっかりカバーするように貼ってください。私が関わっていたケースで、訪問入浴の看護師が入浴後にPEGケアーを貼用するとき、真中の穴が均等にPEGチューブの周りに来るように貼ってくれていて、不良肉芽をカバーしていなかった事がありました。不良肉芽のある方向はPEGチューブにぴったり当るくらいに穴をずらしてPEGケアーを貼るのがよいと思います。
私の経験ですが、「外科的切除」や「硝酸銀での肉芽焼灼」をせずに、上記の方法でケアした場合(肉芽の大きさやPEGチューブのタイプ・ご本人の状態も色々なので比較にはならないかもしれませんが)最短で6週間・最長で5ヶ月でした。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From いっけ

みなさまありがとうございます。在宅での往診医との連携の難しさも考えてPEGケアを使ってもうすこしがんばってみようと思います。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From beach5

ご無沙汰致しました、beach5です。あの節は諸先生はじめ皆様に大変お世話様になりました。(胃婁を造設すべきか否か迷ってご相談致しました)あれから本人を説得して胃婁を造設したのですが、間もなく肉芽が出来て硝酸銀で焼灼して貰いました。その時の肉芽は指先程の形で10時の方向に出ていました。2,3度焼いて頂いて綺麗になったのですが、今また出来てきました。今度は僅かですが全周にイソギンチャクの様に出てきております。もっちさんのご案内を頼りにアルケアにお願いして、サンプルを頂いて使っていたのですが、胃婁の周囲が赤くなってきたので今はガーゼを使用しております。この所少しよくなってきたの又PEGケアを使用したいと思っております。
もっちさんにお伺い致します。宜しくお願いします。一方向に出来た肉芽の時にPEGケアを貼る場合、肉芽を完全にPEGケアで上から押さえて貼るのですか。カバーするということはこれで良いのでしょうか。全周に出来ている場合その経が10mを超えております。その様な時はどう貼れば良いのでしょうか。お忙しいと思いますがご教示お願い致します。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From もっち

beach5さん、御指名強縮です。
さて、ご本人さんのPEGチューブはどのようなタイプのものでしょうか?チューブ型ですかボタン型ですか?チューブ型とボタン型では若干対応策が変わってきます。造設して何カ月ほどたっていますか?お腹の皮膚と外部バンパー(外側のストッパーのことです)との余裕は1cmほどあるでしょうか?外部バンパーがキツイと圧迫から床ずれの様になってしまう事があります。チューブ型の場合は外部バンパーを1cm余裕ができる様にずらしてみてください。ボタン型の場合はシャフトの長さが決まっているので、交換してもらうしか手がありませんが、造設後間もない場合は難しいですね~
PEGケアーを貼って周囲の皮膚が赤くなったとの事ですが、PEGケアーを貼る前に周囲の皮膚をよく洗浄されましたか?まれにPEGケアーの素材にカブレてしまう方もいらっしゃいます。また、周囲の皮膚に細菌感染があるときはPEGケアーは貼らないで下さい。
「一方向に出来た肉芽の時にPEGケアを貼る場合、肉芽を完全にPEGケアで上から押さえて貼るるのですか。カバーするということはこれで良いのでしょうか。」とのご質問ですが、そのとおりです。全周に出来ている場合は、PEGケアーの真中の穴がチューブの太さよりも大きく出来ているので、カバーするのが難しいと思いますので、PEGケアーの外側の部分を少し切り取って隙間をうめるか、ストマ用のパウダーを振り掛けたり、ストマ用のパテを使ったり、ストマ用の皮膚保護剤で手で自在に形を変えられる粘土のような物(イーキンシールやソフトウエハーなど)で隙間をうめるか、褥瘡に使うハイドロコロイドドレッシングをぴったりの大きさに切って貼ったりします。
PEGケアーで瘻孔周囲の皮膚とチューブの摩擦を防いだり、浸出液によるカブレから皮膚を保護することはできますが、PEGケアーは万能ではありません。
以下に、私なりの不良肉芽対策をまとめてみます。諸先生方補足をお願いいたします。
1.スキンケアーを十分に行なう
 スキンケアとは、PEG瘻孔周囲を石鹸を使いよく洗うことです。入浴が可能であればどんどん行なってください。石鹸分は良く洗い流しましょう。ビラン(皮がむけたようなジュクジュクした状態)がある場合で石鹸が刺激(傷にしみる)になるようならぬるま湯や生理食塩水だけでもよいので良く洗浄する事が大切です。
2.除圧を行なう
 お腹の皮膚と外部バンパー(チューブ型ならチューブの途中についている止め板のようなもので形は丸かったり三角だったり細長かったりする。ボタン型なら蓋のついている部分のこと)の間に1cmの余裕があるようにする。余裕がない場合は、チューブ型なら外部バンパーを上にずらす、ボタン型の場合はシャフト長の長いものに交換が可能か医師に相談する。チューブ型の場合チューブがブラブラと動く事により、瘻孔が刺激されて不良肉芽が出きる可能性があるので、チューブの根元が真直ぐになるように固定法を工夫する→スポンジ固定法参照。チューブが邪魔にならない様にお腹にテープで止めている場合は、止める位置を毎回替えるようにする。外部バンパーが細長いものは、外部バンパーの位置を縦にしたり横にしたりと毎回変えることも大切です。
<スポンジ固定法>
 食器を洗うスポンジ(100円均一などで安く売っているものでOK)を適当な大きさ(半分から1/3)に切って、真中にきりこみを半分くらい入れ、外部バンパーの上からチューブを挟んで両端をお腹にテープ固定しておくと、お腹に近い部分のチューブ約3~5cmは真直ぐに固定します。
3.皮膚とチューブの摩擦を防ぐ・浸出液から皮膚を保護する
 スキンケア後、瘻孔周囲に感染徴候(発赤・腫脹・疼痛がある場合は必ず医師や看護師に確認してもらってください)がなければPEGケアーやハイドロコロイドドレッシングを貼る。皮膚が弱い人はPEGケアーやハイドロコロイドドレッシングにカブレないかどうかパッチテストをするとよいかもしれません。もしくは、塗ったりスプレーしたりするだけで皮膚に保護膜ができるキャビロンやストマ用のバリアをあらかじめ塗布しておくと良いようです。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From おサル先生

もっちさん、こんにちは。おサル先生です。
精力的にまとめていただき、感謝感謝です。
特に3.以下はさすがだなあ、と思いました。
2.のスポンジ固定法の他に、ホリスター社のドレーン固定バリアというのを使ったことがあります。創傷被服剤の真ん中に管を垂直に立てるプラスチックの器具のついたものです。たしか1枚500円くらいだったでしょうか。スポンジ法の方が安上がりではありますね。
以上、補足させていただきました。
今後ともよろしくお願申し上げます。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From もっち

おサル先生、こんにちは、もっちです。
ホリスターのドレーン固定バリアはとてもよい商品なのですが、保険がきかないので在宅で使うには少々値が張ります。1枚千円なので入浴のたびに貼りかえるとなると、かなり家計を圧迫してしまうので、訪問看護師としては勧めにくいですね~。スポンジは洗って何度も使えて経済的です。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From beach5

もっちさん、早速のご教示本当に有難うございました。微に入り、細にわたっての懇切、丁寧なご回答にただただ恐れいり恐縮する次第です。これからもどうぞ宜しくお願い致します。お訊ねのPEGチューブの型ですが、チューブ型です。まだよく理解してないのですが、ボタン型の横からチューブが出ている感じのものです。何と言ったらいいのか、小指の第一関節がチューブのセンターになっていて、第二関節の方向に螺旋入りのチューブが出ております。チューブは真横です
嶋尾仁先生の「胃婁造設PEG患者のケア・マニュアル」にもこの型は出ておりません。
皮膚とバンパーの隙間は1cm位はあります。チューブの経は20Frです。外部バンパーの位置は変えているのですが、患者が常時座位を保っているので、チューブをテープで貼っていても我が儘をして、所謂小指の先が立ち上がり気味になり肌を攻めるのです。座位を保つといっても傾斜したり、前傾になったりで姿勢が定まらないので困っております。
PEGは造設して1ケ月半位になります。取り留めのない文章で申し訳ありません。どうぞ宜しくご判読下さい。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From 平成の一休さん

(^o^)みなさ~ん、こんばんわ~”もっちさん”の【熱血回答】にただただ圧倒されました。本当に頼もしい限りです。これからも多いに【使命感】を発揮され、且つ・患者・家族・医療関係者等々の【救世主】的な存在であられんことを期待しております。兼業主婦:平成の一休さんでした。(^o^)合掌三拝。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From おサル先生

beach5 さん、こんばんわ。おサル先生と申します。
それは、もしやメディコン社のバード・ファストラックではないでしょうか。カテーテル壁にコイルが入っているので、内腔が通常の20frよりも広く、またコイルが入っているおかげで直角に折り曲げることが可能です。“なめくじ”のような形態の外部バンパーがついているはずです。しかし、何と言っても最大の特徴は、内部バンパーが封入されたバルーンで出来ているということです。カテーテルに「はさみ」のマークがついていないでしょうか。そこをはさみで切断すると、内部バンパーに封入されたバルーン水が抜けて、バルーンがしぼみ、用手的抜去がしやすくなります。基本的には「バンパー型」に分類すべきで、この用手的抜去は医師でないとやってはいけません。かなり抵抗があるはずです。この写真は、日本医事新報6月28日号の連載「在宅PEG管理のすべて」の35ページの図3に載せておきました(ちょっと宣伝)
 カテーテルが外部バンパーのところで、直角に曲がっているメリットは、上から腹帯で押さえつけても、瘻孔に対して横向きのトルクが生じないことです。したがって、もっちさんの「スポンジ法」やおサルの「ドレーン固定バリア」はおそらく不適合だと思われます。
 むしろ、このタイプでしたら、いっその事、体動時にふらふらしないように、第二関節以降をテープで止めてしまうか、腹帯で押さえてしまった方が、意外と良い結果が得られるかもしれません。
 以上、おサルの解釈が間違っていなくて、ご参考になれば幸いです。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From beach5

おサル先生、beach5です。宜しくお願い致します。
お忙しい中、早速のご助言有難うございます。確かに先生のおっしゃる通り大きな”なめくじ”の様な形をしていて、カテーテルに挟みを入れて交換する、と聞いております。長いカテーテルが我が儘をすると、梃の原理が働いて”なめくじ”の口が皮膚に突っ込む形になります。取り扱いは良いのですが、一長一短があるように感じます。
PEGケアはやや硬質ですからその点は良いのですが、PEG
ケアが使えないでガーゼ使用となると、使用本人の日常の姿勢にもよりますが、あまり良いようには思えません。


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From もっち

こんにちは、もっちです。
 ファーストラックの「なめくじ」のようなバンパー「ライトアングルスチューブトッパー」と言うそうですが、これは、おサル先生がおっしゃるように、瘻孔に対して横向きのトルクが生じないので一見よさそうなのですが、実はかなり硬いものなので、坐位を取るとお腹に食い込んでしまうのが欠点です。
 ファーストラックの造設時のキットには、このナメクジのような形のストッパーと、もう1種類T字のチューブストッパーの2種類が梱包されています。大概は造設時に医師がどちらかを選んでつけた後、もう一方は捨てられてしまうのですが、これ、捨てないで取っといてご本人に渡してほしいといつも思っています。なぜなら、物があれば、ご本人の状態によって、バンパーの使い分けができるからです。造設をされているDr是非お願いします。
 さて、人間、寝ている時と起きている時ではおなかの出方が違うものです。寝ているときに適正な位置にあると思われていたバンパーでも、坐位時に皮膚にくいこむのであれば恐らく坐位の姿勢ではバンパーの位置がキツイのかもしれません。坐位になってから、バンパーが当らない程度にもう少しバンパーをゆるめてみるという手があります。姿勢が安定しないとのことですので、もう一歩考えを進め、坐位の時のみ思いっきりゆるめて外部バンパーの下にスポンジを入れてみてはどうでしょうか?もちろん、おなかの皮膚とスポンジの間には、0.5~1cmぐらいの隙間が開くようにしておけば、内部バンパーが胃壁に食い込む心配もなく、外部バンパーの食いこみはスポンジで和らげる事が出きるのではないでしょうか?もちろん、臥床した時にはスポンジははずし、なめくじストッパーは元の位置(お腹の皮膚から1cmのところ)に戻す事が必要です。
 造設後1カ月半というのが気になっていますが、先生方、この案はやってみても大丈夫でしょうか?造設後1カ月半なら、瘻孔はほぼ完成しているとみてもよいですよね?


Re : 出血を伴う不良肉芽について   From おサル先生

beach5さん、もっちさん、こんにちは。おサル先生です。
もっちさん、正式名称が出てくるなんてスゴイです。
たしかにグッド・アイデアですね。やってみる価値はあると思います。
なお、このファストラックは通常のものより管の壁が薄いので、痛みが早いように感じています。バンパーをしきりに動かしているとカテーテルの痛みが早く来ないかが、少し心配です。でも、とりあえずやってみられてはいかがでしょう。