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[No.13483] 小児の胃瘻についてのご相談です From:Sさん(PDN代理)

間もなく4歳になる子供の胃ろうについてのご相談です。


うちの子は逆流が多く、検査をしたところ一日165回あり、20mlで逆流しました。

6%なので、逆流がひどい方だといわれました。また、胃から腸への排出も悪く、立った状態でようやく流れるといわれました。

噴門と幽門の手術をあわせて行う検討もしましたが、今まで持続で注入してきた事もあり胃が小さいこと、手術によってさらに胃の動きが悪くなる危険がある事、持病の性質上5日間の絶食が危険な事・・などから、噴門、幽門の手術はしない事にしました。なので、腸ろうをつくるか、胃ろうを通して腸にチューブを入れるかを検討したところ、胃ろうを通す方に決めました。

 

ところが、ここからまた問題がでてきて、この病院の小児外科では内視鏡を使った胃ろうは経験がほとんどなく、手術でつくるそうです。内視鏡でつくるには、大人の内科がよいと言われ、お話を聞きに行ったのですが、ここでも子供の経験はほとんど無いといわれ、全身麻酔でするなら、内視鏡も手術で作るのも同じだと言われました・・。

どちらにするか家族で検討してくださいと・・そう言われても困ってしまいます。そこで、思い切ってこちらにメールしました。


内視鏡でも手術でつくるのも本当に同じ事なのでしょうか?それぞれの利点、欠点はあるのでしょうか?

それと、「PEGパーフェクトガイド」を買って読んだのですが、胃ろうを通して腸へチューブを通す場合、PEGカテーテルの中を通すものと通さないものがあるようですが、それぞれの利点、欠点はありますか?できれば胃と腸の両方を併用したいのですが、それは可能ですか?

また、腸へのチューブにした場合、ボタンタイプの胃ろうは出来ますか?

 

お忙しいところ、大変申し訳ありません。どうかよろしくお願いします。


Re:小児の胃瘻についてのご相談です From:カネコ@北海道

>S様
結論から言えば、小児でのPEGはなかなか難しいと思います。

PEGのメリットは全身麻酔を伴わないこと、開腹操作を伴わないことです。

で、4歳であれば局所麻酔+胃カメラで胃瘻を造設するのはほぼ不可能ですから、全身麻酔を伴わないと言うメリットはなくなります。あとは開腹操作を伴わない=傷が小さいということです。腹腔内の癒着に関してはPEGで癒着が少ないのですが、これは胃壁が脱落しやすいというデメリットにもなります。

小児でのPEGの最大のデメリットは、PEGと言う手技自体胃カメラを使わなければ出来ないことです。胃カメラは胃内を観察する・胃を膨らませて腹壁に押しつけると言う目的ですが、小児で大量の空気を胃内に押し込むと、小腸に流れた空気によって換気困難を起こす可能性があります。小児麻酔で最も注意しなければならないことの一つをあえて起こすわけです。全身管理という意味で危険性は開腹手術より高くなると思います。

胃瘻のボタンを通すかと押さないかについては、私は経十二指腸栄養法の経験が少ないのでコメントできません。

腸瘻に関してはボタンの使用は難しいです。どうやって交換するのか・・・が問題になるからです。


Re:小児の胃瘻についてのご相談です From:

カネコ@北海道先生、ご回答ありがとうございます。
PEGと開腹の違いがよく分かりました。

もう一つ質問があるのですが、開腹の方が傷が大きいようですが、傷が大きい事によりPEGよりも漏れやすいという事はあるのでしょうか?


Re:小児の胃瘻についてのご相談です From:カネコ@北海道

>S様
開腹胃瘻造設術ではお腹を最初に切った傷に直接胃瘻を作るわけではありません。お腹を開ける操作は、胃壁を持ち上げて腹壁に縫いつける操作が必要なので行います。

PEGの場合はこの、胃壁を縫いつける作業を内視鏡的に行うと言うことです。

胃瘻を作る場所と傷は別の場所になりますので、開腹だから胃瘻が漏れやすいと言うことはありません。